2010年10月7日木曜日

どがま 登場。

ハングルが読めないという理由から、炊飯器を諦めて鍋で米を炊いていたマダガスカルから来たGabi。
1ヶ月ちょっと前、ソウルでの事。
私にもハングルが解らなかったし、お米を買ってくるほど腰を落ち着かせられなかったから、ご飯を炊く事はしなかった。というか、実はお鍋とガスコンロで、ご飯を上手に炊く自信はなかった。

Gabiのご飯は、大成功!とても上手に仕上げていた。
私たちは日頃性能の良い(家のは普通だけど)スイッチひとつの炊飯器に甘やかされ、直火でお米を炊けない民族になりかけている。聞く所によると、マダガスカルは実はお米文化だそうで、ご飯を炊くのはきっと当たり前のことなのだと思う。でもでも。日本人として私はやはり少し、恥ずかしい。

夏の旅で、心残りだったことの一つ。
「ご飯を鍋で炊けるようになりたい!」



今日、実現した。
これ。


勿論、スーパーOKにて購入の土釜。(2年来、狙っていたやつ、3合炊き)
説明書の通りやってみると、何も心配する事はない。
もの凄い、大成功。
同じお米とは思えない程、美味しく美人のご飯が炊きあがった。
このご飯は、究極のソロパート。他は何もいらない、って域です。
満足満足。

で、問題は。。。



自分の勘を養う事。
説明書も時計も計量カップがなくても同じように美味しく炊けるようになる事。

ああ、それがもの凄く難しい事なんだ。
本当に鍋でご飯が炊けるようになるのは遠い道のりでしょうか。

2010年9月17日金曜日

調子に乗り、写真集。と言ってもon flicker。

やっと、季節が動いているのだと思える昨日今日。
秋の予感。

まだ気分は夏の旅行を引きずりながら生活しています。
あまり踊ってるシーンはないのですが、
自家製コンペ入賞写真をflickerにアップしました。

http://www.flickr.com/photos/chicokatsube/sets/

セットが4つありますので、選んだセットのトップをクリックし、
大きくなったら再び、その写真をクリックして下さい。
▶でスライドショーっぽく見れます。


まだビデオの編集にこれから取りかかる、の巻。
レイ・チャンとセバスチャンのダンスを早くお届けしたい、のに。

2010年9月7日火曜日

逃亡、終了。

夏。
異常な暑さを予測した訳ではないが、避暑のように逃亡した。

1ヶ月。滅多にない長い旅。
思いきってやってみた。
各地で踊った。
一番の・・・てなものはない。
どれもこれも、スペシャルであり、普通の事、ようにも思える。
臨機応変、カメレオンな自分がいて、頑固な自分もいて、取扱いは結構厄介だった。

人に出会った。知り合いにも、初めまして、にも。沢山。
「コンタクト・インプロ」の定義はさておき、人と交わって即踊るのが得意な人達が集まっていたので、どやどやと友達が出来た。face bookの友人が一気に増えた。世界中に宿泊所が出来た(ようなものだ)。
そして今後のwishがさらにさらに増えてしまった。


帰ってみたら、自分の家が他人の家のように思えた。
東京の色が違って見えた。

旅をすると、つかの間浦島太郎になれる。
「ここはどこなんだ?!今はいつなんだ?!」

竜宮城での記憶は、一度、瞬間ワープで遠のいていく。
まるで、現在現地点に早く適応しなさいよ、と言われているようだ。
暫くしたら、再び記憶の波にぷかぷか漂ったりするだろう。
そんな時間の余裕を、捻り出したい。

2010年9月4日土曜日

まだまだ不思議な韓国

ここで、一番の楽しみ(?)は、食!です。
なんと言っても、食べ物にはずれがない。
安い。多い(量も品数も)。早い。熱い。赤い。旨い。
食堂も、屋台も、レストランも、フードコートも、とにかくたくさんひしめき合って、こんなで商売が成り立つんだろうか?と心配になる程、外食産業が賑わっている。
大概、英語が通じないから、店を選ぶ際も、メニューを決める際も、大騒ぎだ。アズマ(店のママさん)と客、お互い「何故通じないんだ???!!!」と不思議に思いつつ、客は餌にありつくまで引下がらない。
慣れるまでの楽しいひと時でしょう。
そして、大きな器にいっぱいの野菜と卵とコチュジャンに、ご飯、熱いスープ、3〜4種の突き出し(パンチャン)、簡単な魚料理、などが並んで大満足。現在のレートなら、これが350円くらい。仲良くなれば、おまけにコーヒー(インスタント)や葡萄も付いてくる。
まさか食べきれないだろう量が、気がつけば完食。さすが、韓パワーの源。自動的に食欲を揺さぶってくれる。
帰国まで後、何色食べれるか!今はそれが一番の懸念。




ハイテク化が日本とは少し違う順番で進んでいる、という印象を受ける。進化の段階をいくつかかっ飛ばして、ポン!と「はい、ハイテク、どうぞ〜。」になったものが数多くあるのだろう。
経済関連の雑誌などに、現在は日本より韓国の方が様々な分野でシェアを広げて日本をあっという間に抜き去った、ような記事をよく読む。確かに、事実ではあるだろうが、ひとたび市井を覗くとソウル市内と言えどまだまだアンバランスな進化発展のように感じる。

昨日は、たんこぶ事件があった。
しょうちゃんが、写真撮影に出かけたが、あっという間に帰ってきた。おでこに大きな(巨大)たんこぶを作って。
ビルの入り口の自動ドアが開かなかったそうだ。いや、開いたのだが、開くだろうタイミングよりはるかに遅く開き始める。自然に身体に入っているドアとの関係を外されて、しょうちゃんは一時停止しないでおでこから突っ込んだらしい。大事なカメラは無傷。良かった。が、しょうちゃんは、おでこから眉間にかけて大きく隆起し、アバターに登場する人のような顔になってしょんぼりしていた。(あばた面?)惜しむらくは、事故直後の彼女の顔を撮影していなかったことだ。どうやら、しょうちゃんだけではなく、メンバーのフランス人も南アフリカ人もおでこやら膝をドアにぶつけているらしい。アフリカ人に至っては、毎日の事だと。

自動ドアの精度だけで韓国のハイテク状況を判断出来ないけれど、なんとなく全てがそんな感じ〜〜〜〜だと感じている。
しょうちゃん、気功のお陰か、メンバーに貰ったアーニカという薬のお陰か、かなりの早さで回復中。帰国までにはもとの顔に戻る、ね!


今日は、昼間にセミナーと称する座談会。夕方にパフォーマンス、その後にジャム。てんこ盛り。いつご飯に出かけられるかが大きな悩み。(何をしにきたんだろう・・・・)

2010年9月1日水曜日

ソウル概観

という程、出かけていない。
宿舎の近場を歩き回り、少し地下鉄に乗り、亀の速度で街を見ている。生活用品の購入にスーパーマーケットを散策して、暴風雨に傘をやられて雨宿りし、ついでに屋根を借りた建物の中をおそるおそる見て歩く。やっとの休みの日にようやく中心地付近に出没してみた。

なんとまあ、観光客の多い事!
観光客というより、買い物客。もしくは、仕入れ客。
勿論、日本語もよく耳に入る。見栄を張ってしょうちゃんとは英語で会話する。見栄でしかない。


ソウルで思う、不思議な事★☆★

★音が多い。
地下鉄の録音アナウンス。日本語も交じりつつ、流れ続ける。しゃべってないときの方が短いくらい。
音楽も挿入されているが、機械の故障のような、電車がきしんでいるような、決して癒される事も無く、注意を喚起するわけでもなく、騒音として処理される。
宿舎の目の前の小学校は、何かの時間の区切り目に、電子音の「エリーゼの為に」をしょちゅう鳴らす。しかも、間違えたような大音量。先生、はっとして、数秒後にちょっとボリュームが下がる。(学習しなさい!)
トイレの便座もうるさい。座っても「ぴ〜ン」。立っても「ぴ〜ン」。ウォッシュレットのボタンも、ひとつひとつ鳴る。
蝉は、ゼンマイ仕掛けのように、抑揚なく鳴り続ける。生き物から出る音とは思えないので夏の風物詩にしてあげたくない。


★危ない。
宿舎前の大通りは、高速道路だったらしい。それが取り壊されていた。がれきが道路真ん中に延々と積まれ、狭くなった道幅に相当な交通渋滞を起こしていた。
ある朝、その大量のがれきが、一気に消え、アスファルトがすっかり敷き詰められていた。その間、おそらく8時間。見える限りでも200メーターはある。夢のようだ。こんなことあり得ない。あってはならない気がする。

地下鉄の車体のドアと、ホーム側のドアの開く順番が、日本と逆なのか、てきとうなのか、電車から人が降りようとしても、ホーム側のドアが開いていない事がある。とても、危ない!足を踏み外すまでに至らなくても、皆おでこをぶつける勢い。

そして、宿舎。
築、半年。しかし、既に壁には亀裂が見つかっている。隙間を埋めるパテの塗り方が甘い。素人の技(素人にも技?)だ。風の通りが良くないのか、匂いが籠る。
エレベーターもよくしゃべるが、よく動かない事がある。(昨日、点検してたね)
そんなこんなで、少し身の危険を感じつつ、残りの日数を数え始めている、成田での騒動で海外旅行者保険に入りそこなった身としては尚更・・・


★蚊が多い。
ほっそりしている。スリムである。まるで人なんか刺せない顔をしている。
なのに、夜な夜な、閉め切った部屋にどこからともなく侵入し、まぶたや掌のような難所を刺してくれる。勿論、汗だくになりながら、とことん応襲する。勝つまで戦う。獲物を捕まえたネコのように、記念の品を壁、天井に貼付けたままにしてある。(野蛮な私!)
これには意味があって、「この建物には蚊がこんなに多くいて、宿泊者はこんなに苦闘したんですよ」と、持ち主のソウル市に見せてやりたいからである。多分彼らは見ないだろう。でも、少し、気が済む。


★言語
日本と同様、なかなか英語が通じない。食堂でも毎回、手振り身振り、顔芸の悲喜劇が繰り広げられる。英語の普及率は、東アジアにおいてはかなり遅いのだと、確認。
たまに日本語を知ってる若者に出会う。テレビ等の影響でか、フランクな日本語を少し知ってる店員(男)は、「チョットマッテヨ〜」と私たちの探し物を取りに行ってくれた。観光客のひしめくエリアは、状況が違う。ほとんどの店員は基本の日本語を知っている。値段(数字)は完璧。会話はそこからスタートする。その為、こちらは逆に購入意欲が失せて、退散する。
今回のメンバーに、英語ネイティブは一人もいない。みな、母国語がそれぞれで、フランス語、韓国語、日本語、ズールー語、マダガスカル語、台湾中国語・・・。癖だらけ、間違いだらけの英語でも、力技で通じさせる人達。こういう状況にいると、英語が本当に「道具」という気がして、やや英語に対する敬意が薄くなる。言い方を変えれば、「恐くなくなる」。
そんな事と、ちゃんとした英語も学び直す事を今後続けよう、とちょっと決心する。


まだまだソウルの何も知らない。が、身の回りの出来事だけでも十分面白いし、カルチャーショックだらけだ。

この後、エクスチェンジのワークは3日続き、パフォーマンスを2回やって今回のプログラムは終了する。そして既に、来年以降の企画も6カ国間で話し始めている。つまり、今回出会った面々、みなお互いが気に入ってる、って事で、これまたインプロの妙って事でもある。
制作業から骨休めしたくて出かけたはずが、前よりもっと大量のエクスチェンジ企画をお土産にしてしまいそう。
夢の実現は自分でなんとかするしかないのか・・・。

2010年8月28日土曜日

ソウルフルソウル

アジア・インプロビゼーション・アート・エクスチェンジ(AIAE)が始まった。

ソウル市内だが、南西の端で、やや開発が遅れた地域なのか昭和の町工場地帯といった雰囲気の街、ムレ。
そこに、ソウル市がおよそ半年前にアーティスの為に建設したアートセンターがあり、レジデンスしながらパフォーマンススペースでワークが出来る。一見、とても恵まれた条件。そして確かに、恵まれている。
が、なにか不自然な違和感を拭えない。
結局、行政がいかにも”整った”施設を作ってやった、という偉そうな感じが見え見えな館内。つまり、使い勝手が悪いのである。実際に使う人の気持ちに立っていない。お金の使い方が間違っているんだなあ・・・。手厳しく表現すれば、「すかたん」。
2年前の前回は、工場地帯の奥深くの、元は売春宿か、という風情の簡易宿泊所に泊まった。オモニがとても可愛らしく、言葉が通じないのに、最後の日には花束を買って贈ったくらい気持ちよく過ごせた。(勿論、排水の悪いシャワーにはがっかりしたが)
今回のアートセンターは、「全てがあるはず」からスタートしているから、マイナスのイメージが強く、前回の売春宿は、「あれば儲けもん」から始まったから、プラスが積まれていった。そういうことなんだ。
でも、大きな要素は、「人の気持ちの繋がり方」。これはあるかないかで大きな差。旅行者って敏感なのよね。


レジデンスのメンバーは、アジアというには、広過ぎ、フランス、南アフリカ、マダガスカルを含め、韓国、台湾、日本が主要参加国。
今日は、ダンサー10人、ミュージシャン2人。日本勢の私たちふたりがラボをリードした。オーガナイザーの狙いでもある、「東西各国がお互いに学び合うこと」、からすれば、今日は大いに日本人の特質、特長を発揮出来たと思う。
シンプルな事を、シンプルな構成で積み上げ、向う先にはゆとりがあって善し悪しの判断だけではなくて素晴らしい。というようなコメントを受けた。そりゃそうさ〜。具体的には、「強いソロこそ、コラボレーションの決め手(主張と協調)」「space is the place(動きと静止で奏でるシンフォニー)」なんちゃんって、な内容で進める。とても良かった。

南アフリカとマダガスカルから参加しているアーティスト、モケチ(男性)とガビ(女性)が、見掛けはすっかり私たちとはほど遠いのに、一緒に踊り、語ると、非常に近いものを感じる。インプロビゼーションだからこそ繋がれる人の縁、その早さと深さ。このダンスを選んできた自分の運に感謝する。


韓国料理は、さすがにガッツがある。フィンランドでの「やさし〜い」食事、良くも悪くも「平坦な」料理に比べると、出汁が効いて、火山噴火のごとく煮えたぎり、その上に真っ赤なスパイス。黙ってても並ぶ前菜の数々と、勝手にお代わりが出される食べ放題システム。
モケチは既に4キロ太ったと言った。やばい。唐辛子ダイエットではないのか!
確かに昨日から食費以外にはほとんど出費は無く、エンゲル係数100の毎日。
明日から計画的な食事をしよう。アイダホで日焼けし、ソウルで肥満していたら、帰国しても誰だか解ってもらえないし・・・。

2010年8月26日木曜日

レイ!!!


ECITEが終了して、70名ほどの舞友とも徐々に別れ、日本人二人は現在フィンランドからソウルへの旅の途中。間もなく、また別のプロジェクトに突入する。

いろいろ考え、ある意味、久々に悩んだ。
「人間」、人の間にいることの素晴らしさと難しさ。自分の場合、20代後半くらいまでは、自分のパーソナリティーの確立に悩む時間が多かった。そして今、まだまだおばはんの貫禄が身に付いていないので、ひょろひょろする事がある。それでも、面の皮は厚くなりつつあり、それほど「自分とは何ぞや・・・」的に悩まなくはなっている。
今回の人の集まり(ECITE)では、自分自身を自分から決めていくよりも、周りが自分を確立してくれる事も多くあり、「あ〜、そうですよね、私ってこうなんですね」と感謝に至る。それは、各国の人々が集まり、あーだこーだと物事を進めて行く時に必要な要素でもあると感じた。だが、それで良いのか。
を宿題にして、そろそろ頭をアジアに切り替えて行こうと思う。


その前に、このフィンランドでやはり一番強く思った事。

タイトルの「レイ!」
このおっさん、流石、の一言。
ジャムで最終日にやっとお手合わせ出来た。
予測の付かなさ度合いは、ぴか一で、様々なパターンを覆してくれる。それは今回、コンタクト・インプロについて自分が突き当たった疑問や違和感をおおいに払拭してくれた。
しかも、明るくよく笑っている。
するすると静かに動いている。
8歳のフィリックスの良いお父さんをしている。
スウェーデン人の奥さん、カテリーナと仲良く幸せそうである。

沙漠の中のオアシス、とまでは言わないけれど、ほっとする存在。
ちょうど、会場に横たわる大きな湖のように、静かで超軟らかい水がいつまでもいつまでも動き続けている感じ。

レイ・チャンと、セバスチャンのデュオを見た。
セバスチャンとは、アルゼンチン人でスペイン在住、これまたおっさんの代表で、
日本人の間では「カトちゃん」として通用する。(あ、ちなみに、レイは、「いけのめだか」に見える事があるよね)
こちらも、私たちの予測を裏切り続けてくれて愉快。存在が漫画。
で、この二人のデュオは、若いインプロバイザーでは捨てきれない二枚目的なテクニックを、すっかり飛び越えて、かっこわるいことをスーパーかっこいいことに仕上げてしまう。もう最高なデュオでした。
見たいでしょ。
ビデオ撮りました。いつかね。


現在、ミュンヘン空港。お腹をすかせたしょうちゃんがクレープを手にニコニコ戻ってきました。美味しいものにありつく能力も人一倍な事を、この旅でも発揮してます。流石。

という間に、ソウルまで来ました。
だいぶ地球を回ってきた。ここでまた10日間のインプロイベント。気持ちをキムチで引き締めますっ!!

2010年8月23日月曜日

2010夏、

旅に出ている。
出る理由は、たくさんあった。しかし、旅が始まると、その理由付けは簡単に効力を失い、逆にそれが足枷にならないように自由な気持ちを保とうとしている。

心が、どのくらい動くのか。
昔の旅と、今回の旅で比べるものはその辺りかもしれない。

東京から始まり、アイダホ、ニューヨーク、ヘルシンキ、ソウル、と、東へ東へと地球を一周する旅程。
旅の道連れ、しょうちゃんはカメラ3台携えての野望の旅でもある。

今は、ヘルシンキから電車とバスで小2時間のKisakeskusで行なわれているコンタクト・インプロビゼーションのイベントに参加中。
ヨーロッパをはじめ、アメリカやイスラエル、ブラジルなどから講師レベルのインプロバイザーが集っての催しだ。およそ70名の参加で、自発的にいなければ何も収穫がないようなシステム。
森の中にゆったりと作られたスポーツ施設で、宿泊も食事も全てが整っている。

初めてのフィンランド。
その清潔さもさることながら、フィニッシュの使うジョークが自分のジョークの傾向と似ている事に、密かにほくそ笑む日々。


ここまでの旅をダイジェスト。

アイダホは、ポテトしか浮かばなかった脳みそに、「地球の表層筋」のような大地のうねりは、本当に新鮮な驚きだった。
沙漠色の大きな丘は、季節ごとに表情を変えていくらしく、とても珍しくて美しい。家々は平屋のくせに広々とした間取りで冷蔵庫は3つ、そして必ず自前の畑と巨大なバーベキューセットがある。(プールまである家も珍しくない・・・)

マイケルの家族に会う。彼の成り立ちが大きく頷ける家族だ。お父さん以外は、ずっとしゃべり続けられる成分を持っている。
マイケルの兄、トムはピアニストでパイプオルガン奏者。ビブラホン奏者を加え、ダンサー4人と、教会でパフォーマンスを行なった。
200名を越える観客が集まり、彼らの人脈の凄さに驚きを隠せない。めったに即興のダンスパフォーマンスを見る事がない観客たちは、相当、驚いたようで、その驚きを拍手と賛辞で表現してくれた。
が、喜ぶのは早かった。マイケルが出演直前に足首の故障。しょうちゃんは公演中に腰をギクッ!と一発。神様の前で踊るにはいささか信心が足りなかったか・・・・

なかなか飛ばない飛行機のお陰で、NY到着は朝の6時。
久々のNYで、まず思うのは、人間の心と身体の醜さ。街の汚さそして臭さ。
大きな都会であることの、どうしようもない要素なのか、とにかく気分がネガティブに向かい始める。その事を食い止めるには、自分も人間を落とすか、馴染むしか無く、馴染む勇気や、避ける財力がなかったから15年前にNYに住む事を止めた。
今回は1日半の観光客だから、全てを受け入れてジャッジしないで楽しもう。この街の匂いも、喧噪も、衛生的でない事も、全てが懐かしい。これらは全て、パワーなんだ、と。

尊敬するニューヨーカーであり、もはやむしろ「日系人」、尚子さんが教えるジャイロキネシスのクラスを受けて、背骨が嬉しそうに伸びた。フルフルしている。このお陰で大西洋を渡る飛行はとても助かった。

初めての国、フィンランドに到着する。その前に飛行機はデンマークに降りるが、あまりの接続時間のなさに、腰痛のしょうちゃんをせかせて、コペンハーゲン空港を1キロくらい一気に走って駆け抜けた。北欧デザインの粋をゆっくり楽しむどころではない。

さて、フィンランド。
ECITEの行なわれているこの片田舎は、なんと言っても、その自然が凄過ぎ。
湖畔に広がる美しく、素朴な施設は、それぞれの活動に集中しやすい為の配慮がなされているが、私達にとっては、二度と来れないかもしれない贅沢なロケーション。
踊る事を忘れ、
森を見ては、「ほ〜〜〜」、
湖を見ても「ひぇ〜〜〜〜〜」、
サウナに入っても「ふはぁぁ〜〜〜〜」。
感嘆詞が足りない、愛でるボキャブラリーが足りない、日本語って不自由。


昔の旅に比べて、皆の喋る英語が分かってきた分、自分の中に準備出来る表現方法がいかに足りないかを痛感し、無言で終わってしまう時間もある。
国際感覚、と一言で言っても様々だが、自分にとっては、「気の利いた事を、言葉少なく、ドンピシャなタイミングでグサッと差し込む」事が出来れば、結構、国際人である、と思っている。

ここで行なわれるコンタクト・インプロビゼーションは、特に風変わりでもないけれど、当たり前に、接触系、リフト系、うっとり系、技術系が多い。この人たちの中にいると、いかにコンタクト・インプロが自分から遠いものであるかが分かる。日本人であることか、年齢的に既に上半分に属する事か、海外イベント参加が久しぶりな事など、言い訳(?)はあるが、本当はそんな事ではなく、自分自身が、コンタクト・インプロバイザーではないのだ、という事。
だからどうしなきゃ、とは思わないが、そんな自分をここにもしっかり置ける人間でありたいと考えている。

踊っていますよ。
様々なアプローチで。
ガツンとしたものはまだないけれど、じわりと心は動いている。